糖尿病を治療する目的は？

糖尿病治療の目的

糖尿病があっても、血糖をコントロールして、糖尿病がない人と同じ健康寿命を保つことが、糖尿病の治療の目的です。

糖尿病は初期の段階では症状が全くないという方がほとんどです。

また、長い期間を高血糖で過ごされていても自覚症状がないという方がおられます。

辛い症状がなかったり、特に困っていることがないのに糖尿病の治療は早期発見、早期治療が重要です。と言われる理由は何故でしょうか。

それは、ひとことで言うと生涯、合併症を起こさないようにする為です。

血糖値が高い状態が長く続くことは全身の血管や神経を傷つけ、臓器の機能を低下させます。


合併症を起こした身体は、痛みなどの症状が辛いというだけでなく、長い年月をかけて様々な病気を引き起こし、いずれ介護が必要な状態となる可能性も高めてしまいます。

このことから、わかりやすい言葉で表現するのであれば、将来、寝たきりになることなく元気に長生きする為に血糖コントロールがとても重要であるということ。

また、これが糖尿病の治療の目的・目標であると言えます。

糖尿病の三大合併症

糖尿病の合併症といえば三大合併症があります。

• 糖尿病性神経障害…神経障害は三大合併症の中で最も早く症状が現れる方が多く数年〜5年程で症状を自覚する方がいます。
  
  
• 糖尿病性網膜症…次に目の網膜に出血を認める眼底出血は進行すると失明に繋がる恐れがあります。
  
  
• 糖尿病性腎症…そして3つの合併症のうち最も長い期間、高血糖にさらされた末、全身の血管が損傷され腎臓の毛細血管の塊である腎臓の糸球体でも血管が壊れることで尿を作り排泄する機能が低下します。
  腎臓の機能が著しく低下した場合には人工透析を行わなければ生命を繋ぐことが難しくなります。

後悔しない為の小さな変化が大切

三大合併症について一般的なことを書きました。

糖尿病と診断されて間もない患者さんが、突然、看護師からこのような話をされ、そうならないように今から気をつけましょうね。と言われたところで、そんなに先のことを言われても…とイメージがつかないのは当然とも言えます。

既に糖尿病の治療を始めている方で、合併症は怖いし、絶対に防ぎたい。と思っている方であっても、治療よりも今優先しなくてはいけない仕事や家族のことがあったりして、自分の治療に専念して考えることができない方がいます。

何年も先の可能性について話をされても、将来自分の身に起きることとして理解し、日々の生活の中で糖尿病の治療を一番に優先して、その日からすぐに行動に移すということはとても難しいことです。

その為、私たち医療者はどうしても、患者さんに長い期間、何度も繰り返し合併症を予防する為に血糖値をコントロールしましょうとお伝えします。

それは、実際に、合併症で辛い思いをされている方や後悔の気持ちを抱えている方の言葉を聞き、防げるはずの合併症は必ず防ぎたい。ということを強く感じているからなのです。

そして本当に、まだ症状がない患者さんに将来辛い思いをしてほしくないという気持ちでお話をしています。



ですが、今この記事を読んでくださっている方は、糖尿病治療の重要なことを理解しようとしてくださっている方なので、既に一歩踏み出せている方ですね。



あとは、具体的に何を変えるか、ご自身に合った無理のない方法を見つけることができればきっと大丈夫です。

繰り返しになりますが、自分に合った長続きする治療方法を見つけること、これが患者さんが糖尿病とうまくつき合っていくコツです。看護師はこれを支援させて頂いているサポーターなのです。

最初は、必要性を理解できなくても良いですし、行動に移せなくても大丈夫です。

少しずつ糖尿病について考えたり、出来ることから始められたらgoodです。これなら出来そうかな。と思えることを１つ始めてみましょう。

理想的な方法ではなく、確実にできそうなことをまず始めてみる。これができたら糖尿病治療の第一歩は達成です⭐︎

気持ちを吐き出したり共有しながら、一緒に血糖値をコントロールできる方法を見出しましょう。

まとめ

・糖尿病治療の目的は三大合併症を予防すること

・三大合併症には糖尿病性神経傷害・糖尿病網膜症・糖尿病性腎症がある

・合併症予防の為に早期発見・早期治療・定期的な検査が重要

・小さな目標を立てて無理なくできそうなことから行動する

・看護師は患者さんのサポーター