食事療法について
今日は、糖尿病の方の食事についてお話します。食事療法とは?食事療法に対する基本的な考え方についてお伝えしたいと思います。
食事療法と聞くと、今まで好きだった物が何も食べられなくなってしまうのではと考えてしまう方がおられます。
また、難しいことのように感じてしまう方もいると思いますが、ポイントを理解して習慣化することで、血糖値をコントロールする為の食事療法は無理なく取り組むことができます。
糖尿病だからといって食べてはいけないものはありません。
また糖尿病だからといって家族と違う特別な食事を用意する必要もありません。
食事療法の目的は、食事を制限することやスイーツ、お酒を断つことではありません。
食事療法の目的は血糖値をコントロールすることです。
食事療法によって体重が減り、余分な脂肪を減らすことができれば更に血糖値は下がりやすくなります。
また、減量は血圧のコントロールにも良い影響を与えるので、食事療法は血糖値の改善だけでなく、血管や臓器の負担を減らすという良い循環を作り出すことができます。
その為食事療法は糖尿病治療の基本であり合併症予防の為に必要不可欠であると言えます。
今までの食生活と全く違う方法を取り入れる必要はありません。
無理なく続けられる食事スタイルや、ちょっとした工夫を取り入れて食事療法を日々の生活の中で習慣化できることが理想です。
それでは具体的に、食事療法とは何のことをいうのか?どのように取り組めば良いのか?食事療法のはじめのステップに知って頂きたいことをお話したいと思います。
食事療法の基本とは?
食事療法の基本はバランスの良い食事+適正量を守ることです。
この2つを意識することで、血糖値の急上昇を防ぐことができ、肥満の予防にも繋がります。
この2つさえ守ることができれば、どんなに甘いものでも、どんなに脂っこいものでも、食べること自体は何も悪くありません。
バランスと量、この2つを守ることが重要なのです。
それではバランスの良い食事+適正量を守ることについて、詳しく掘り下げたいと思います。
バランスの良い食事とは
まず「バランスの良い食事を摂りましょう」この言葉はよく耳にするのではないかと思います。
一体バランスの良い食事とはどのような食事のことをいうのでしょうか。
ここに出てくるバランスとは栄養素のバランスのことであり、バランスの良い食事とは、エネルギーのもととなる三大栄養素である炭水化物・たんぱく質・脂質の3つそれぞれが、適切な量を摂取できる食事であると言えます。
三大栄養素は、各々に重要な働きがあり生きるために欠かすことできない栄養素です。
1日に必要なエネルギー必要量を知る
次に、適正量についてですが、これは1日にどれだけの量を食べると良いかというもので推定エネルギー必要量といいます。
体格(基礎代謝量)や活動量(身体活動レベル)、またその人の身体の状態によって決まります。
農林水産省HPより引用
一般的な例ですと、活動量の少ない成人女性の場合は1400~2000kcal、男性は2200±200kcalが1日に必要なエネルギー摂取量の目安です。
1日に摂取する必要のあるエネルギー量がわかれば、それを3回の食事に分けた量が1回の食事で食べる量ということです。
例:2000㎉÷食事3回=1回の食事量➔600㎉
間食➔200㎉
必要エネルギー摂取量には間食分のKcalも含まれています。
間食を摂りすぎて食事量を減らさなくちゃ・・ということにならないように配分を考える必要があります。
(基本的には間食は、食事で摂れなかった分のエネルギーを補う意味で食べる物なのですが、それについては詳しく書きたいと思います。)
医師会のホームページから1日に必要なエネルギー量を計算できるフォームがあるので、是非1度計算してみていただけたらと思います。
急激なダイエットは逆効果
糖尿病の診断をされ間もない方ですと、血糖値を改善するにはダイエットをしたら良いんだ!ということで、極端な食事制限をしてしまう方がおられます。
そうなると、食事制限をする前よりも痩せにくく血糖値が下がりにくい体質になってしまいます。
ここまで書いているように糖尿病の食事療法はバランスの良い食事と適正量を守ることが重要であり、単に極端な食事制限により減量を成功をしたとしても、一時的な効果では継続的な血糖値の改善に繋がりにくく、また筋肉量の低下からリバウンドをした際には脂肪量が増えてしまいます。(〝体組成が崩れる〟と表現します)
また、エネルギー(摂取カロリー)を抑えることを重視してバランスが偏った食事を摂ると血糖値が急上昇したり、高いまま維持しやすくなることがあります。
このことから、血糖値の改善には極端な食事制限によるダイエットは逆効果だと言えます。
食事療法は折り合いをつけて
ここからの話は、食事療法の基本をお読み頂いた上で読み進めて頂けたらと思います。
最近は〝糖尿病の方の食事療法〟と言っても制限ばかり…というイメージは減ってきているかもしれませんね。
沢山の良い治療薬が出てきて手助けしてくれることもあり、お薬をうまく使いながら糖尿病治療の基本である食事療法も気長に取り組むことができる。そんな治療スタイルがベターなのかもしれません。
糖尿病治療には患者さんが療養生活を長く続けていくことが、とても重要です。
制限ばかりであったり、これをしなくてはならない!あれもしなくてはならない!つづきの治療では、糖尿病治療の目的である合併症の予防や、そのための治療の継続が難しくなってしまい、それでは意味がありませんよね。
勿論、薬を補助的に使ったとしても日々積み重ねた結果を帳消しするものではないので、食事など日々の生活に気をつける必要はありますが、そこは上手く折り合いをつけて、時には好きなものも食べたり飲んだりして、工夫しながら食事療法と長く付き合っていただく。
というのが食事療法に対する私の考えです。
食事療法が辛く感じるという方は、主治医の先生や話を聞いてくれる看護師の方に遠慮なくご相談していただきたいと思っています。
糖尿病治療には本当に何通りもの方法があります。食事療法だけで頑張りすぎている方にも、きっと良い方法が見つかると思います。
まとめ
- 糖尿病の食事療法は食事制限とは違い食べてはいけない物はない
- 栄養バランスの良い食事を摂り適正量を守ることが大切
- 極端な食事制限や急激なダイエットは体組成が崩れる為逆効果
- 食事療法は折り合いをつけて無理なく継続しましょう
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